2018年度試行プロジェクト採択案
「“視聴覚障がい者も楽しめる花火“の新たな取組み」
第1回ワークショップ

第2回ワークショップレポート|2018年9月15日

大曲商工会議所にて、秋田県在住の10名の視聴覚障がい者の方々と第2回ワークショップを開催いたしました。第1回ワークショップで頂いた様々なご意見をもとに、大会当日、障がいを補完する技術として導入を検討している「音の波形を振動に変換する“ネックレス型体感デバイスHapbeat”」と「音声帯域の明瞭度をアップさせた“難聴者用スピーカー”」を実際に体験していただいたり、花火大会の情景や花火の色、形をラジオ劇形式で表現する脚本の第1稿を聞いていただき、花火師、脚本家や技術メーカー担当者も交えながら意見交換を行いました。

聴覚障がいの方々に、 “ネックレス型体感デバイスHapbeat”と“難聴者用スピーカー”を体験していただきました

第1回ワークショップで、目で見るだけでなく花火の振動を体で感じて楽しんでいる聴覚障がいの方が多かったので、振動をより楽しむために、音の波形を振動に変換する“ネックレス型体感デバイスHapbeat”を体感していただきました。 Hapbeatを首にかけながら、昨年の大曲花火大会の映像を見たところ、皆さま、初めての体感で「花火や音楽のリズムに合わせた振動は、まるでライブ会場にいるような感覚で面白い」、「体の広範囲に振動があり、新しい体験でした」、「人が混みあっていると花火の振動を感じにくいので、これがあると楽しめる」等のご意見をいただけました。
ただ、音と振動がずれてしまったり、振動が強すぎる、長すぎる、強弱をもっとつけて欲しい、など振動に関する様々なご意見をいただいたため、花火大会当日まで細かな調整を行い、改善していく予定です。
当日は、より多くの皆さまに新しい花火の体験を楽しんでいただきたいと思います。

また、音声帯域の明瞭度をアップさせた“難聴者用スピーカー”の導入検討にあたり、花火大会のアナウンス音声を、2種類の難聴者用スピーカーと普通のスピーカーで聞き比べていただきました。
音の聞こえ方は個人差がありますが、同じ音量でも、通常スピーカーより難聴者用スピーカーの方が言葉が明瞭に聞こえた、というご意見を多くいただいため、大会当日は、2種類の難聴者用スピーカーを導入し、音のバリアフリー環境を作ってまいります。

視覚障がいの方々に、 “ネックレス型体感デバイスHapbeat”と“花火の新しい表現方法としてのラジオ劇”を体験していただきました。

視覚障がいの方々も、花火の音だけでなく身体に感じる振動を楽しんでいる、というご意見が多かったため、 聴覚障がいの方々と同じく、振動をより楽しめる “ネックレス型体感デバイスHapbeat”を体感して頂いたところ、皆さま一様に「振動音がうるさくて、本物の花火の音に集中できない。振動は実際に花火大会に行って感じた方が良い。」というご意見でした。

聴覚から得られる情報量は1割といわれている中で、聴覚障がいの方々は“聞く” ことに集中しており、振動の増幅はそれを妨げる効果であることが、今回実際に体感して頂き明らかになりました。 “ネックレス型体感デバイスHapbeat”については、大会当日、希望される方にのみ貸出をする方向を検討いたします。

また、「見えていた頃の記憶をたぐりながら、音や振動に合わせ花火を想像している」方々が、より花火大会の情景や花火の色、形をイメージできるラジオ劇形式で花火を表現する脚本の第1稿をお聞きいただきました。脚本の内容や表現方法について、様々なご意見をいただけたので、こちらも本番へ向けて脚本の作り込みを進めていく予定となります。

さらに、見たことのない花火を想像してもらうためのツールとして、花火の模擬玉や花火が打ちあがって開いた形を手で触って感じ取れるエンボス加工のイラストも準備しました。
実際に、模擬玉を手で持ったり、花火の形を触っていただいたところ、「自分の想像の中での花火が、よりリアルになるので楽しい」といったご意見をいただけたため、こちらも大会当日、展示ブースをご用意する予定です。

今回のワークショップで頂いたご意見から、上記以外にも、点字のプログラムの充実や、大会アナウンスのテキスト情報をスマートフォンに配信するアプリなど、様々なバリアフリー環境をご提供できるよう準備を進めています。また本番では、様々な技術の活用に加え、視聴覚障がい者を対象にした、音の変種や変化に富む効果のある花火や、発光の強弱の表現を増幅させる新しい花火の開発も予定しています。

大会当日、お客さま皆様が、こころから花火を楽しみ、笑顔で帰られるご様子を見ることができたら、何よりも嬉しく思います。

花火大会概要

「大曲の花火~秋の章~」にて、約10分のコーナーを設け、当会が独自に開発する「視聴覚障がい者も楽しめる花火」を実施します。花火大会には、大曲市、秋田市内の視聴覚障がい者の方々を50名招待し、花火大会を体験していただきます。

大曲の花火~秋の章~「花火劇場~エバーグリーン~」

主催 「大曲の花火」実行委員会(「大曲の花火ー秋の章ー」実行委員会)
開催場所 秋田県大仙市大曲雄物川河畔(「大曲の花火」公園内)
開催日 2018年10月13日(土) 午後6時〜7時15分

※大会詳細は公式サイトをご覧ください。
https://www.oomagari-hanabi.com/autumn2018/index.html